インターネットの発達など、メディアの多様化が進んでいる中、放送、通信、出版等に出演する実演家の権利について、曖昧に扱われている事案が数多く報告されています。
実演家には著作隣接権、送信可能権などの権利があり、許可のない長期使用やWEB使用などは、その権利を損なう物です。
そこで、ごく一部ですが、下記の報告例を列挙していますので、今後の対応にご留意いただきたいと思います。
1、映像・音声等の制作物(TV・ラジオ・CM・VP・WEB映像等)について、出演者に買取の条件を提案されたケース。
⇒無期限の許可は実演家の活動をその将来に渡って著しく限定するもので契約上、成立しません。出演者の一生分の権利を譲渡するものなど、ありえません。条件提示の中で使用期間は必ず明記して下さい。
2、契約期間、OA期間が過ぎていて放送が終了しているのに、WEB上で使用されているケース。
⇒延長使用に関する条件提示が必要です。過去のCM、VP等の映像をライブラリィとして閲覧可能にすることも同業他社の競合等で実演家の権利を損なうもので、無断使用は認められません。
3、出演時に約束されていない制作物の全部、一部を別媒体、別目的に転用、二次使用したケース。
⇒まずは必ず出演者の所属事務所に許可をとって下さい。 広告媒体が減ったり、使用部分が少なくなっても、実演家における、競合等の制約が解除されるわけではありません。
WEB使用のみ延長なので…といった理由で、「ベース」である筈の前契約からは、全くかけ離れた条件提示が受けた。また、「数回の二次使用だけなので延長料は支払えない」など、信じがたい話ですが、現実的には多く存在する事例です。
4、契約期間を終了して延長使用の申請がなかったため、新規に同業他社の話を進めたが、後日になって延長の要請を受けて困っている、というケース。
⇒たとえ契約期間が終了する前に、延長使用の申請があったとしても、現契約に優先権は存在しません。無条件で次期契約を義務づける根拠はありません。延長の要請に対して、実演家にもその選択の権利がありますので早めに意思確認をお願いします。
※ その他、復数年にわたる延長の場合、実演家の移籍・一時休業・廃業・死亡等、状況の変化による延長・再使用の制限など、様々なケースが報告されています。